| ● 子ども達の抱える問題 | ||
世界の政治や経済の様々な事情により海を渡って移動する人々が急増する中で現在 日本には約200万人の外国人が居住し、約7万人の外国籍児童が日本の学校に通っ ています。 また、日本人と外国人とを両親に持つ国際結婚間の子どもを含めると外国の文化的背 景を持つ子どもは約7万人を上回ります。 しかし外国籍児童には義務教育が課せられないため、不就学や未就学児童も多く存 在します。このような状況にも関わらず、日本国内おいては外国の文化的背景を持つ 子どもへの教育が行き届いていないのが現状です。 CCSは、1993年に設立して現在に至るまでの活動の中で、以下のような、外国の文化 的背景を持つ子どもの抱える問題に直面してきました。 (1) 日本語学習(特に「読み書き」)での立ち遅れ 高校生や大学生が自分の意志で外国に行くのとは異なり、子どもたちは自分の意志 に関係なく、親に連れられて来日してきます。そのために事前に日本語を学習してく る子どもはほとんどいません。 通常外国から来日した児童、生徒に対して学校で日本語指導が行われますが、その 頻度は自治体によっても異なり、週に1時間の日本語指導が行われるのが平均的です。 しかし、45分授業×12回程度の日本語指導が終われば、子どもたちは日本人の子ど もと同様にすべての授業を受けることになります。特に非漢字圏の国から来た子どもた ちは、12回程度の日本語指導で問題なく授業についていけるはずがありません。 このように、教育現場だけでは行うべき日本語指導が十分になされていないのが現状 です。 (2) 教科学習からの「落ちこぼれ」 日本に来て間もない子どもは、日本語の学習を優先的に行うため、必然的に教科学習 が手薄になってしまいます。また国と国のカリキュラムの違いから習うことなく進む分野 もあり、多くの子どもたちは教科学習で落ちこぼれてしまうのが現状です。 来日して2年ほど経つと子どもたちの日本語は非常に上達し、日常言語(※1)を見につ けます。しかし成績はなかなかそれに比例しません。 このような子どもに対して、親や教員はしばしば「日本語ができるのに、成績が悪い まま。これはこの子がさぼっているからだ」というレッテルを貼りがちです。しかし、子ども たちは決してさぼっているわけではなく、単に日本語レベルが学習言語(※2)を習得す るレベルに達していないだけなのです。こうした現状が周囲に理解されていないため、こ のような子どもたちに対して適切な指導がなされていないことがしばしばあります。 (3) いじめやアイデンティティ否定による学習意欲や積極性の喪失 外国の文化的背景をもつ子どもがいじめにあうケースは少なくありません。また、文化や 習慣のちがいを否定的に言われることも珍しくありません。そのような経験から母国や母 文化に対して否定的な気持ちを抱くようになったり、怒りの矛先を親に向けるようになる こともあります。思春期特有の反抗に加え、母文化アイデンティティの揺らぎが起こると いう非常に複雑な状態なのです。 (4) 日本の教育制度での親の理解不足(※3) たとえ子どもが学校に行けても、学校からのお知らせや連絡等を親が読めなかったり、 他の保護者や教師とのコミュニケーションが円滑にとれないために、日本の複雑な教育 システムを理解する手段や機会を失ってしまうことがあります。子どもの言語習得や学習 習得の上で家庭の果たす役割は大きいゆえ、このように情報過疎に陥ることは深刻な問 題です。
※1 日常言語 … 日常生活に必要な語彙や表現で通常日常生活において2〜3年 で習得できるといわれています。 ※2 学習言語 … 教科書の中の語彙や表現で適切な指導をうけて習得するのに 6〜7年かかるといわれています。 ※3 「母親4人に1人、日本語読めず」 =東京23区、小中就学4割−NPO外国籍子ども調査
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